#1 貿易に「凡夫(ぼんぶ)」のこころあり!

#1 貿易に「凡夫(ぼんぶ)」のこころあり!

お経を唱える、座禅を組む、滝に打たれる……

一般的な修行のイメージはこんなところでしょうか。

仏教では「三学(さんがく)」といって、①仏教の規則(=戒律)に則った生活をし、②何事にも動じない心をもち、③物事を正しく判断する智慧を備えるという、3つの実践を修めなければなりません。そのために、僧侶はありとあらゆる方法で修行を行います。

アムリタ・ゼン・ライフのショップオーナーは、和歌山県の寺院に生まれ、自身も2020年の12月、無事に修行を終え、晴れて僧侶としての門出を迎えました。そして、同時期にスリランカとの貿易の仕事も始めます。

長く苦しい修行を終えた僧侶には、たとえ嵐がきても動じない、すべてをまあるく包む精神力が備わっている……かのようなイメージを持たれることも。

「悟りましたか?」

「修行が終わって何か変わりましたか?」

「世界は開けましたか?」

というご質問をよくいただくのですが、ご期待に沿えず、自分はまだまだ未熟者だなぁと思う日々。とても「三学」にまでいたりません。

この「三学」を全うできない存在を、仏教では「凡夫」と呼びます。悩みや苦しみ、欲にまみれた存在として、人間は生きていたっていいじゃないか、という相田みつをさんの詩のような、凡夫。今から850年前に、凡夫でもきっと救われる、その先にきっと悟れる道があると私たちに示してくださったのが法然上人という偉大なお坊さんでした。

スリランカと貿易をしていると、毎日がまるで苦しい修行です。

納期が間に合わずハラハラドキドキ。

商品が間違えて納品され、担当者の長く続く言い訳に、内心イライラ。

コロナ最中の現地ロックダウンで、どうしたらよいかと悩む日々。

「神は人間に試練をお与えになった!」と格好良く叫びたいくらい、トラブルの連続です。

あぁ、今日もまた怒ってしまったなぁ……と、僧侶としては反省。

でもそんなとき、人間はみな凡夫だよ、という考え方に、本当に助けられるんです。

自分も失敗ばかりする凡夫だからこそ、他者の失敗も受け入れられる、

凡夫同士助け合って、ベストを尽くそうよ!というポジティブな「だって人間だもの」精神で、今日も倉庫に検品に向かいます。

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