【2024年8月・店主ラオスの仕入れ旅日記vol.3】

【2024年8月・店主ラオスの仕入れ旅日記vol.3】

世界遺産ルアンパバーン。
有名な早朝の托鉢(*)見学を楽しみにしていました。

*托鉢とは、仏教では、出家した僧侶が鉢(はち)を持って家々や町を歩き、在家の人々から食べ物や生活必需品を受け取る行為のことをいいます。僧侶にとっては修行の糧(食)、在家の方にとってはお布施を通じて善い行いをして功徳をつむ、宗教的な行為としての意味合いがあります。



経済発展にともなうライフスタイルの変化により、タイでもスリランカでもだんだんと托鉢の光景を見る機会は減ってきました。そんななかで大規模に托鉢を行っているといわれるルアンパバーン。どんなストーリーがあるのでしょうか。

朝5:30。
大きな太鼓の音が、市内のお寺から鳴り響くとともに、鉢をもった僧侶が列をなします。
オレンジ色の衣を着た、上座部仏教のお坊さんたち。
10歳に満たない見習いのお坊さんを、ベテラン僧侶が指導しながら歩きます。
その数、ざっと100人を超えるでしょうか。

路上には、観光客にお布施セットを販売する町の女性たち。
見ると、どのセットももち米とチョコレートばかり。
観光客はそれらを購入し、お坊さんの鉢に喜捨する体験を行います。

お坊さんの数に対して喜捨をする観光客が多すぎるので、鉢はすぐにいっぱいになります。路上のあちこちにセットされた専用の箱に、ときどきバサッと中身を空けて、観光客からの喜捨をうける僧侶たち。





それらを見たときに、とても宗教的な行為とは感じられず、最初は「う~ん」と微妙な気持ちになったのですが、よくよく観察をしていると、どこからともなく現れた村のこどもたちの姿が。彼らは、袋いっぱいのもち米とチョコレートを持ち帰ります。

ラオスはアジアでも最貧国のうちの一つ。
ルアンパバーンの街が世界遺産に登録されて観光業は発展しましたが、実際に投資を続けているのは、近隣の中国やベトナムの外資系企業だと言われています。
街の地価が上がれば、地元の人は住めなくなり、今では僧侶の托鉢修行を支えるのは観光客、という側面はあるのかもしれません。

そして観光客に托鉢セットを販売した収入で、地元の人の生活が成り立っていることも事実です。お坊さんは、そんな資本主義のモヤモヤした部分もまるっと受け入れながら、毎朝托鉢修行を行います。



さて、托鉢が終わると、始まったのは朝市。
托鉢中の厳かな雰囲気とはうってかわって、市場の活気ある賑わいが街を包みます。

野菜やお肉はもちろん、生きた小鳥がかごに入って売られています。
これは、放生(ほうじょう)と言って、命あるものを逃がして徳をつむ機会をいただく仏教の修行のひとつ。お金を払って小鳥を買い取り、逃がしてあげるというシステムです。仏教が根付く東南アジアならではの光景かもしれません。



さて、朝市の見学も終わり、見繕ってあったハンドクラフト雑貨屋さんに数件寄って、少し買付も行います。ヤオ族やカム族の手仕事雑貨の風合いがなんとも素敵です。




買い物を終えて、空港に向かうまでの間は、のんびりとルアンパバーンの街を楽しむことにしました。
メコン川をみながら飲むコーヒー時間で、頭のなかをぼーっとリラックス状態に。いつも買付の旅は慌ただしいのですが、せっかくなので東南アジアのゆっくりした時間を楽しむ余裕はもちたいものです。




さて、3回にわたって書いた思い出のルアンパバーンの旅ブログ。
お寺や夜市のほかにも、自然体験を味わえる場所がたくさんあり、のどかなひと時を過ごすことができそう。
バンコクから直行便も出ているので、3日間ほど時間に余裕があるときは訪れてみるのもおススメです(終わり)。

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